まだ残暑と呼べるような日もありますが、秋らしいさわやかさを味わえることが多くなってきました。
子どもたちとの生活が、いっそう充実していく年度後半のスタートです。
さて、当園では毎月、園内での研修会を実施しています。
先月のテーマは「子どもの人権を尊重した保育を考える」です。
人権と言うと、日常とは少し遠い話題にも感じられますが、
私たちが実践する「子ども主体の保育」ととても近しいものであるということが、
園内での様々なエピソードから分かりました。
たとえば、夏にめいっぱい楽しんだ水遊び。
頭から水をかぶってダイナミックに遊びたい子、
水の感触や性質をじっくり味わって遊びたい子、
ちょっぴり恐くて見ていたい子、
水遊びではなくお部屋で遊びたい子……
どの気持ちも、一人の主体としての子どもの、尊重されるべき意見です。
意見表明権の保障は、子どもの権利条約に明記される原則の一つです。
私たちは、一人ひとりの子どもたちの思いをかなえるための環境を用意します。
ポーチはタライいっぱいの水や水鉄砲でダイナミックに遊べるコーナーに、
ドアを隔てた玄関内はじっくり水で遊べるコーナーに、
興味はあるけど見ていたい子には水遊びの様子が見えるように、
もちろん、水遊びではない遊びもできるように……。
はじめ水が怖かった子どもも、お友だちの楽しそうな様子に刺激されて自ら水に触れに行く場面もありました。
多様な環境を用意することは、子どもの意見を尊重するとともに、
子どもたち一人ひとりのペースで世界を広げていくこと、すなわち「発達権」を保障することでもあります。
一人ひとりの世界の広げ方に、クラスや年齢は関係ありません。
どの子どもも好きな遊びに取り組めるよう、私たち保育者は担当に関わらず、
子どもの育ちを支える一つのチームとなって、子どもたち全員を見守るのです。
子どもの人権を尊重した保育は、
「選択性の保育」、「職員によるチーム保育」、「かかわりを大切にした保育」、「異年齢児保育」、「子ども主体の保育」
という私たちの保育の方法と地続きです。
方法というと、こちらもおカタい印象ですが、
子どもたちとの生活を、柔軟に、ユーモアを持って、明るく楽しく過ごすことを、
今後の園生活でも大切に保育に取り組んでいきたいと思います。
(10月 園だよりから転載)
駒沢ほしにねがいを保育園
園長 藤川 和